All posts

とるべきN数(サンプルサイズ)の決め方

有意水準・検出力・効果量・ばらつきから必要なN数を逆算する方法を、目安の数字付きでまとめました。

実験や調査で「何人(何個)集めればいいか」を決めるのがサンプルサイズ設計です。少なすぎると差があっても見つけられず、多すぎるとコストと時間が無駄になります。

決めるための4つの材料

  • 有意水準 α: 差がないのに「ある」と言ってしまう確率。ふつう 0.05
  • 検出力 1−β: 本当に差があるときに見つけられる確率。ふつう 0.8(80%)
  • 効果量: 見つけたい差の大きさ。差 ÷ 標準偏差(Cohenのd)で表す
  • ばらつき: 標準偏差。過去のデータや予備実験から見積もる

平均の差を比べるときの目安式

2群の平均を比べる場合、1群あたりの必要数はおよそ n ≒ 2 × (z_α/2 + z_β)² ÷ d² です。α=0.05(両側)なら z=1.96、検出力80%なら z=0.84 なので、(1.96+0.84)² ≒ 7.84。つまり n ≒ 15.7 ÷ d² と覚えられます。

  • d = 0.8(大きい差)→ 1群 約25
  • d = 0.5(中くらいの差)→ 1群 約63
  • d = 0.2(小さい差)→ 1群 約393

(t検定で厳密に計算すると、これより1〜2人多くなります)

平均を一定の精度で推定したいとき

「平均を ±E の幅で知りたい」なら、n = (1.96 × σ / E)² です。例えば σ=10 点の試験で平均を ±2 点の精度で知りたいなら、n = (1.96×10/2)² ≒ 96 人。精度を2倍にする(E を半分にする)には、n は4倍必要になります。

割合を推定するとき

アンケートの賛成率などは n = 1.96² × p(1−p) / E² です。p が分からないときは最も厳しい p=0.5 を使います。誤差 ±5% なら約385人、±3% なら約1068人。よく見る「約400人」の根拠はこれです。

気づき

N数は「なんとなく30」ではなく、見つけたい差の大きさとばらつきから逆算するものだと分かりました。標準偏差の見積もりがN数を決める、という点で前の記事とつながっています。

Discussion

No comments yet